三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2013年8月25日放送

耕作放棄地や休耕地を利用し、無農薬野菜を栽培!
イタリア野菜を中心に、本当に美味しい野菜をつくり、他の農家との差別化をはかり、そして新しい雇用を創出・・・新しくも大地に根ざした取り組みに挑戦しています!

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ご覧ください、この目にも鮮やかな料理!
これは津市内のイタリアンレストラン『リストランテ・ソプラノ』でいただける『夏野菜のラザーニャ』と『トマトと岩ガキのモザイコ』。
ラザーニャは野菜の味わいを全面に押し出した、野菜が主役のお料理。
『トマトと岩ガキのモザイコ』は尾鷲産の岩ガキに、色とりどりのイタリアン・トマトを盛りつけ、冷たいトマトジュレで仕上げました。

2品とも、野菜の味がしっかりしているからこそ、出せる味わいです。


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この野菜を作っているのが、大紀町の『野良人ファーム合同会社』のみなさん。
耕作放棄地・休耕地を活用し、地域貢献、社会貢献を掲げて野菜作りに勤しんでいます。

代表の尾花隆司さんに『野良人ファーム』についてお聞きしました。

「農業を始めた理由は2つ。1つは『耕作放棄地』を減らしたいということ。
そしてすでに少し経験があるのですが、障がいを持った子どもや引きこもりの子たちに『農業の多面性』というか自然の力を使って一緒に仕事をできれば良いな、との思いから農業を選びました」

尾花さんは休耕地の活用と、間口の広い雇用の創出を目指し、2012年に『野良人ファーム合同会社』を設立。
現在、大紀町、大台町の数カ所の休耕地を再生させ、仲間たちと無農薬での野菜作りに励んでいます。


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野良人ファームで作っているのはイタリア野菜を中心に、約60種類以上。
他の農家との差別化を目指して、種も現地から輸入して栽培しています。


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野良人ファームは完全無農薬栽培。だから、手間ひまがかかります。
苗が育つ畑は、育ち始めの頃は、必要最低限の雑草を取り除き、成長を助けます。
そして、ある程度育ったところから野菜本来が持つ強さ(生命力)で雑草と戦い、育っていくんだそうです。


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スタッフの大野和哉さん(左)と長谷川真吾さん。

大野「私は定年退職後、尾花さんの考えに賛同して作業を手伝い始めました。
高齢者ですが、多少は役に立っているのかなと思います(笑)」

長谷川「僕は実家も農家なので、ある程度は知っていますが、ここでは有機農法を行っているので、ノウハウを吸収させてもらっています。
将来は尾花さんと同じように、引きこもりの子などに働ける場所を提供し、一緒にやっていきたいと思います」


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収穫を終えたら、次は、配達です。
現在、『野良人ファーム』が販売しているのは個人会員と、契約している一部の飲食店。
朝採れた野菜を、みんなで仕分け、代表の尾花さん自身が、その日のうちに配達します。

個人会員の方は、家族の人数、必要な量で金額を設定して配達してもらえるそうです。


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こちらの会員さんは、一度口にした後、たまたま雑誌で『野良人ファーム』のことを見つけ、迷うことなく注文したとのこと。
『野良人ファーム』の野菜は、甘いものは甘く、苦いものはちゃんと苦いと、野菜本来の味がしているところが魅力だそう。
お子さんもここの野菜を食べてから、野菜が好きになったそうです。

しかも、会員の申し込みがあった際、尾花さんはまずサンプルとなる野菜を持って行くとのこと。
最初はお金をいただかずに、実際に食べてもらう。
そして味に納得してもらえたら、初めてそこから定期的に届け、料金をいただくのです。
良心的ですね!


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時には不揃いな野菜のプレゼントもあり!
これも、直接販売の魅力ですよね!


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早朝から働き続ける尾花さん。
夕暮れ時になっても、仕事は終わりません。

続いて、車を走らせやって来たのは中部国際空港への海上アクセスルートである『津なぎさまち』。
冒頭で紹介した『リストランテ・ソプラノ』です。


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納品は、自分たちが作った野菜が、プロの料理人の目によって品定めされる瞬間。
さすがの尾花さんも、この瞬間だけは、何度体験しても緊張するようです。

シェフの谷口幸樹さんに、『野良人ファーム』の野菜を仕入れた理由をお聞きしました。

「まずはとてもしっかりとした野菜の味。あとは尾花さんの人柄ですね(笑)」

尾花さんにとっては、これ以上ないほど嬉しい言葉です。


ひとつひとつが積み重ね。
休耕地を耕し、甦らせ、地域に貢献する。
新しい野菜を植え、育て、売って、新しい雇用を生み出す。

額に汗し、泥にまみれる・・・野良人ファームの挑戦は始まったばかりです!